2004年3月18日 フジサンケイ ビジネスアイ

舞台に立つとき、「新渡戸涼恵」は、シンガーソングライター「涼恵」になる。
 「美しい日本の言葉をもっと知ってもらいたい」と願い、
ライブハウスや神社などで歌う。
 ブラジル・サンパウロ生まれで神戸育ちの新渡戸さんが、
本番直前に必ず食べるのはご飯だという。
 「お米を食べると力が入ります」
日本の心には、やはりお米がよくマッチするようだ。
 コメといえば、国連は今年二〇〇四年を「国際コメ年」と定め、
国際的に関心を高めようと各国でシンポジウムなどを開催している。
 FAO(国連食料農業機関)によると、世界の年間のコメ生産量は約四億トン。
その半分は、中国とインドで生産されている。
 コメは世界人口の半分に当たる三十億人以上の主食でありながら、
生産に利用できる
土地や水は減少傾向にある。
 実際、世界のコメ生産量は、一九七〇年代と八〇年代で
2・5%増となったものの、九〇年代に入ると、伸び率は1.1%に鈍化。
FAOはこのまま推移すれば、
世界のコメ需要を充足できなくなると警鐘を鳴らしている。
 日本では、今夏(七月中旬)に東京・渋谷の「UNハウス」で、
小中学生を対象にした「国際コメ年特別展示」が計画されている。
子供達に世界のコメやコメにまつわる
宗教的儀式などを紹介する予定だ。
「夏休みを利用して子供だけでなく、大人のみなさんにも
世界のコメ事情を知ってもらいたい」
 国連の広報センターはこう話して、幅広い層の来場者を期待している。
 昨年、国内のコメ生産は冷夏の影響を受けて不作だった。このため、
コメの小売価格は前年と比べて高くなっている。
 農水省の調べによると、二月第四週の消費税込み一〇キロの
全国平均小売価格は、新潟コシヒカリ(魚沼)が九千六百十六円で、
前年同週と比べ29・2%も高くなっている。
ただ、コメに対する消費者の嗜好は
「おいしいブランド米に人気が集まっている」ため、
数量は落ちているが、売上高は増えているという。
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 「豊葦原の瑞穂の国」を聞くと、
本当においしいコメが少しわかるような気になる。
笛と鈴がゆっくりとしたリズムを奏で、時間がどんどんもどっていくような
錯覚に陥る。
いつか、どこかで聞いたような、いや、気のせいかもしれない。
そんな不思議な気分にさせる歌だ。
 「美し沃野とかんながら 水を引き 土を耕し 苗を植え 穂が実る・・・」
 「豊葦原の瑞穂の国」というのは、日本の美称でもある。
青森県の高山稲荷神社で掃除をしていたとき、
自然に旋律と歌詞が浮かんできた。その時のことを、新渡戸さんは
「自分でコントロールできないくらい、しつこく流れてきた」と降り返る。
 実家である神戸市中央区の小野八幡神社で小学校の頃から巫女をつとめ、
十九歳神職の資格を取得した。
 古文にでてくるような歌詞は、新渡戸さんにとっては
子供の頃から慣れ親しんだ言葉だが
多くの若い世代にとっては難解なはずだ。
 しかし、「豊葦原」の曲を聞いた若い人からは
「歌詞の意味はわからないが、心が動いた。
突然、涙が出た」といった素直な感想が多数、寄せられている。
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